Next Prev

70年代の革新。

BeachCulture 2018/01/18

1972年、カリフォルニア南部のオックスナード出身のマルコム&ダンカン・キャンベル兄弟が開発した「ボンザー」。諸説あるサーフィンのフィンの歴史の中で伝えられているのが、世界初のシングルフィンの進化系トライフィンという事。

ミニマリズムを求め、波とメロウに調和するシングルフィンが主流だった時代に、スピードアクションを追い求め生まれたと記憶され、サーフボードの歴史を語るに欠かせないスタイルであるボンザー。絶対的な特徴は、シングルフィンの両サイドに2枚もしくは4枚のフィンをプラスしている事。そのサイドフィンは小ぶりで表面積が少ないが故、ボードのボトムの水の抵抗力が抑えられながら後方に水を流す役目を果たす。そして水流を味方にしたボードはスピードをつけながら、浅めのサイドフィンがレール to レールのライディングへと誘ってくれる。彼らは、操作能力に優れたボードつくりに成功した。時はシェイプ理論渦巻く70年代。シングルからトライ、またツインなど各々が確立していく時代背景の中で、革新的なスタイルをつくり上げたキャンベル兄弟の賜物であるボンザーは、ケリー・スレーターをはじめ、テイラー・ノックス、ジョエル・チューダー、ドノバン・フランケンレイターなどスタイルのある名だたるサーファー達が今日も魅了されている。

加えてボンザー熱がヒートアップする弟のマルコム氏のあるwebインタビューにZOOMしてみよう。

Q:ボンザーが生まれたエピソードと時代背景を教えて。

マルコム氏(以下M):我々キャンベルブラザーがサーフボードをシェープし始めた1968年は、若者を中心としたヒッピーイズム等のカウンターカルチャー等が芽生え始め,サーフシーンに置いても大きな変革期に入っていた。何しろ世の中全体に『何か新しい事が始まるんだ』と言った期待感やある種革命的な精神みたいなものがサーファーやヒッピー、ミュージシャンの間に広がっていたんだ。まさにサイケデリックで刺激的な時代だったよ。

その頃は、ジミーヘンドリックスとかパッションのある音楽を良く聞いていたよ。今は、テクノロジーが発達して色んな新素材が開発されその結果、サーフボードに関しても確かにその恩恵は受けているけれどもあんなに刺激的でクリエイティブな時代はもう帰ってこないんじゃないかな。そんな時代背景と重なって一般的なプロダクツデザインにも大きな変化が見え始め、それと同調するかの様にサーフシーンにも革命と言うか大きな進化が見え始め、サーフボードのデザインも大きく変わっていったんだ。

それ以前は、ロングボードが主流だったけれどボードもだんだんと短くなり試行錯誤の末、色んなタイプのサーフボードが次々と考案されていた。そうかと思うと、それらのボードを一瞬にしてオールドファッションにしてしまいそうなユニークなアイデアのボードがビーチに登場して繰り返しテストがおこなわれていたね。

もちろん現在もシェーパーの個性が十分表現された様々なタイプのサーフボードがリリースされているけれど、当時のシェーパーは今以上にオリジナリティーに拘っていてほかの人がやっていない、新しいアイデアを求め思いつくままにシェーパー自らの創造性をサーフボードをに投影していたんだ。

僕たちキャンベルブラザーもそれまでは、7フィートのシングルフィンでサーフィンを楽しんでいたけれどそれだけでは飽き足らず、もっとラディカルに動けて今迄以上にサーフィンが楽しくなる様なサーフボードを創ろうと思いつくアイデアを全て試していたんだ。そんなある日ガレージで試行錯誤に耽っていると、かねてから飛行機やボート等のプロダクツデザインに興味を抱いていた父親が今迄にない革新的なアイデアを思いついたんだ。それがボンザーだったんだ。

早速その前代未聞のアイデアを具体化して史上はじめてボンザータイプのサーフボードを作ったんだ。これは、とてもセンセーショナルなことだったんだ。当時のサーフボードは、シングルフィンが主流だったが、ボンザーはセンターフィンの両側に掘られたコンケーヴのレール側に沿ったかたちで三角形のサイドフィンが装着された、とても風変わりなボードだったんだ。

70年代に入るとオーストラリアの影響が出始め、5.6や6フィートのシングルやツインフィンが流行り始めた。僕たちはその手のサーフボードも好きだったけれど、もっとちがった方向性を見いだそうと試行錯誤とテストを繰り返し、自分たちが創造したボンザーを進化させていったんだ。僕たちはその最高のアイデアを独占する事なく普及させようと世界中のトップシェーパーとアイデアの交換をはじめたんだ。73年になってからBING SURF BOARDSがボンザーに興味を持ったことで、僕がボトムとコンケーブをシェープしてそのノウハウを教え、彼等とお互いに出来る事をシェアーしてBing Bonzarを開発したんだ。

Q:ボンザーの特徴は?

M:ボンザーって言う意味は、オーストラリアのスラングでユニークとか風変わりなと言う意味なんだ。従来のサーフボードに比べてもそのデザインがとっても変わっているでしょ。初期の頃は、コンペティションボードと言うよりもリクリエーションボードとして扱われていたボンザーだけど、最近になって多くのトップラダーがハイパフォーマンスな5フィンボンザーを使い始め、サーフィンをニューレベルな段階へと引き上ることに成功したんだ。それをきっかけにボンザーの新たな魅力と言うか素晴らしさが見直され始めたんだ。

ボンザーのメインコンセプトはフィンの形状や角度、サイドフィン周辺のコンケーブを含んだボトムとテールデザインそれとアウトラインのバランスの取れた相互関係によって、通常のサーフボード以上にボトムでのエネルギーを発生させて水流の活性化をはかる事なんだ。

もっと具体的な説明をするとボンザーの場合、コンケーブとサイドフィンの角度を通常のスラスターフィンよりも広げて18度に設定する。こうする事によってターンした時にレールとフィンがしっかりと水に喰い込み、水中でサイドフィンがさらに大量の水を取り込むことになる。その取り込んだ水を整えて出来るだけ遠く迄流すことでボードにスピードと安定性が加わりハイパフォーマンスな動きに繋がる。

つまり簡単に言うと如何に水のエネルギーを逃さずに有効に使うかと言うとてもシンプルなことなんだ。言葉だと簡単だけど、サイドフィンの微妙な角度やコンケーブのあり方等、秘密が一杯なんだ。今しゃべっちゃたからもう秘密じゃなくなっちゃたな(笑)

たぶんみんなも経験した事があると思うけれど、スラスターはライディングしている最中にクィックになり過ぎてカットバックした時等に、水中でのエネルギーをロスしてパフォーマンスにルースさが加わってしまいその結果、ラインが途切れてスピードがダウンしてしまうことがある。

しかし、ボンザーはこうした細かなチューニングやセッティングによって、どんなポジションにいてもスピード、マニューバビリティーやスタビリティー(安定性)を失わず、サーフボードにポジティブな影響を与えストールしないでスムーズなラインをメイクする事ができるんだ。言ってみれば“ニュービークル”スペーシーな乗り物って言うところかな(笑)

Q:ボンザーに適した波は?

M:ロングボード、ニーボード、ショートボードとボードのバラエティーも豊富なので基本的には、オールラウンドだね。ここに挙げたボードにしても相当に細分化されているので、それぞれのカテゴリーの中でフィンシステムを組合わせることによって波のサイズやコンディシヨンに拘らず、ビーチブレイクであろうとリーフブレイクであろうとノープロブレムだよ。いちどボンザーのテイスティーな乗り心地を知ったらハマること間違いなしだね。さっきスペーシーな乗り物だって言ったけどマジックカーペットでもあるんだ。

Q:何故トランジションボードが流行っているのか?

M:僕は、6.6フィートの5フィンボンザーにのっているけれど、確かに若いサーファーの間でエッグノーズやフィッシュテールにツインフィンと言ったノスタルジックな薫りがするボードが流行っているね。ボードのカラーリングも60年代や70年代のピグメントやティントの顔料を使ったシックなものやサイケデリックなものまであってその時代をリアルタイムで過ごして来た僕にとっても新鮮な感じさえする。

僕はこの現象を単なるレミニッセンスとは捉えていないんだ。むしろ様々な遍歴を経て来たサーフシーンの結果であり進化だと思っている。色んなスタイルのサーファーがいるけれど、60年代とか70年代のカルチャーに興味を抱いているニュースクールボーイズが多いのも事実だね。

今日のインタビューの冒頭にも話したけれど、僕たちが過ごして来たその時代って色々なことが起こっていてサーフシーン、サイケデリック、ヒッピー、 ミュージックシーン、アートシーンと若者を取り巻く環境全てがエキサイティングで夢があった。フッションにしてもただ流行っていただけじゃなくその背景にはしっかりした思想があってそれがカルチャーへと発展して行ったよね。それに明確なスタイルがあったのも事実。そんな時代への憧れやヴァイブレーションが彼等の求めるサムシングとシンクロしたんだと思う。

サーファーってある意味、カルチャーに対して意識的に進んでいる所があるし、そう言うことに関して敏感な人種だよね。サーフボードだって当時のスタイルをきっちり踏襲しているけれど、ただのコピーキャットじゃなくてちゃんと進化した今風にアレンジされている。そこが面白い所なんだよ。今のムードがただのルックスライクじゃなくて当時を凌ぐカルチャーとして育ってくると、サーフシーンも今以上にハッピーでメローになるんじゃないかな。
<引用元 2006.3.1 MENEHUNE WEBLOG> http://menehune.blog.shinobi.jp/

 

ハワイ・オアフ島、ノースショアのハレイワには、彼らのボードが並ぶ直営店がある。その名は「Bonzer Front ボンザー・フロント」。解りにくい外観から従来のサーフショップではない事はすぐに見受けられるが、扉を開けた店内にさらに驚く。まず目に入るのがワインの品揃えだ。常時100種以上揃うワインセラー併設していて、一瞬「リカーショップ?」と間違えてしまうほど。

美味そうなワイン達を横目にしつつ、奥の部屋に進むと、サーフボードガレージのような空間が舞い込む。壁にヴィンテージ感満載のRADなボンザーがズラリ。宇宙兄弟にも似て違うおなじみのロゴの数々がこちらを覗き込んでいる。ここは、紛れもなくボンザーをその手にとれ、目で見てボードのバックボーンを感じとる事ができる唯一のボンザーボードファクトリーなのだ。

ちなみにワインも良さげでお隣にはレディースのアパレルショップ、裏庭ではモーニングやランチをいただける小さなカフェも併設しているらしい。店舗にはキャンベル兄弟や家族達が気まぐれで立っていると兄のダンカン・キャンベルが説明する。

そして、売れ行く1本のユーズドボードに対し、その板が削られた経緯と背景、歴史を愛おしく語る彼の表情は、どこか刹那的ながら、1本1本に愛がこもった感情のあるボードなんだと認識させられた。

1960年代、2人の少年の兄弟は、サンタモニカでサーフィンを始め、フォトグラファーでサーファーの父から渡された1冊のHULL(船体)の本をヒントにイケてる新しいサーフボードをつくる為、試行錯誤の研究重ねた。

その繰り返しは糧となり、屈折約10年、やがては化学的要素を取り入れた革新的なフィンのスタイルの開発を成し遂げたのだ。そのこだわりが伝承されるボンザーとキャンベルブラザーズのスピリットに触れに、ハレイワに訪れてみよう。

そこには未知なる”変わり者”との、新たな出逢いが待っているだろう。

 

◽︎Bonzer Front ボンザー・フロント
66-452 Kamehameha Hwy, Haleiwa, HI 96712, USA
bonzerfront.com

Quote from Sandy magazine #6

SPECIAL THANKS:KENJI MIYAJIMA /  MENEHUNE BEACH STORE
PHOTO & EDIT : REINA SHIRASAKA

BEACH CULTURE GUIDE 編集部

GREENROOM co. が送る、ビーチにまつわる旅・音楽・アート・ファッション情報を配信するウェブマガジン

< Prev Entry Next Entry >

Recomend

LOCAL GREEN FESTIVAL ダイジェストムービー

BeachCulture 2018/09/04

Local Green Festival 本日開催!!

BeachCulture 2018/09/01

タイムテーブル&エリアマップの紹介

MUSIC & ART 2018/08/10

Local Green Festival 第5弾 ARTIST発表

MUSIC & ART 2018/08/02